
最近は住宅で和室を計画する機会が少なくなっていますが、和室には洋室にない使い勝手のよさがあります。たとえばベッドを置いた洋室は、寝室という用途に限られますが、和室は、布団を押入れにしまえば朝食の場や茶の間に変わり、お客様を通すこともできます。和室には、空間を何通りにも使えるという、洋室にない「融通性」があるのです。
生活空間を思い通りに広げられない現代こそ、昔からの和室の使い勝手のよさを再度見直す必要がありそうです。和室でも、化粧柱に鴨かも居い、長押なげし、竿さお縁ぶち天井といった意匠にこだわる必要はありません。家の中に畳敷きのファジーなスペースを計画すると考えれば、もっと楽しい住まいになるでしょう。
その1 畳敷きのあるリビングルーム
~和のくつろぎ感を楽しむ~
たとえば、畳のリビングルームという考え方があります。リビングルームはフローリングと決めつける必要はないのです。最近の若い建築主で畳好きな方がいて、リビングダイニングを12畳の畳敷きにしました。

大きな堀コタツを中央に設置し、冬も夏も堀コタツを中心に生活しています。来客が何人来ても、座布団さえ用意すれば済みますし、さらに目線を低く暮らせるので、12畳の部屋がそれ以上に広く感じられ、天井も実際より高く見えます。また、床暖房をしなくても暖かく過ごせます。畳のリビングは、限られたスペースを広々使うにはとても有効です。

その2 畳コーナーのあるリビング
~和と洋の融合がスタイルを広げる~
最近の和室では、縁のない畳をよく使います。リビングの一角に畳のスペースを計画するような場合、縁なしの半畳大の畳を使うと和風になり過ぎず、洋風のリビングに感じよく馴染みます。
4畳半で9枚の畳になるので、コストは少々上がりますが、畳表の目を互い違いに敷き込むと、市松模様のとても洒落た畳スペースになります。

その3 遊びのある畳のロフト、書斎
~小さな空間をのびのび生かす~
座る、寝転ぶ…畳の特性を生かして、ちょっと面白い空間演出もできます。たとえば階段下の、普通ならデッドスペースになる場所を書斎に。最小限の広さに畳を敷いて、掘りごたつのように足が入る文机を作りつけると、腰掛けて書き物をしたり本を読んだり、ゴロンと倒れて寝そべったり…ちょっと遊びのある面白い空間になります。
ロフトも畳敷きなら、座ったり寝転んだり大人数でも楽しめます。

最近、若い方が寝室を和室にするケースに多々出会います。純粋な和室ではなく、フローリングの替わりに畳を敷くという感じで、押入れはあるが化粧柱や鴨居はないのが普通です。冬はコタツを出して来客をもてなしたり、子供たちが友だちを連れてくれば遊び部屋になったり、畳敷きのファジーな部屋は、これからの住まいには魅力的な空間といえそうです。

